国立西洋美術館で開催している「西洋絵画、どこから見るか?」に行った。
サンディエゴ美術館と国立西洋美術館の所蔵品計88点を組み合わせて展示している。サンディエゴ美術館は、スペインからの移民が多い土地で、エル・グレコ、スルバラン、ムリーリョ、ソローリャなど、スペイン美術の宝庫として知られているとのこと。
この美術展では、ルネッサンス、バロック、18世紀、19世紀と600年間を時系列的に辿れる展示になっている。あらためて西洋美術を体系的に理解する機会となった。
しかも、国立西洋美術館の常設展示で馴染みの深い絵画が、サンディエゴ美術館の所蔵品と対比させて展示しているのが面白い。
とくに印象的だったのが、バロックの静物画「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」。この美術展のパンフレットの表紙を飾る絵画。
国立西洋美術館の常設展にある「果物籠と猟鳥のある静物」と対比されているが、「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」は実にシンプルで良い。スペインの静物画(ボデゴン)の最高峰の呼び声が理解できる。

国立西洋美術館は、1959年(昭和34年)に開館したが、実業家松方幸次郎が20世紀初めにヨーロッパで収集した印象派などの19世紀から20世紀前半の絵画・彫刻が基礎となっている。
原田マハの小説「美しき愚か者たちのタブロー」文春文庫で詳しく描かれている。

松方幸次郎は、まさか自分のコレクションがサンディエゴ美術館の所蔵品と比較されるとは夢にも思っていなかっただろう。
松方幸次郎がこの美術展を観たら、なんと言うのだろう。
国立西洋美術館では常設展の年間パスポート「国立西洋美術館常設展パスポートチケット」を販売している。
来年の3月31日まで1,300円で何度でも観覧可能。常設展の入場料は個人一般で500円だから3回行けば元が取れてしまう。
昨年に引き続き、今年も購入した。
昨年のカードのデザインはポール・シニャックの「サン=トロペの港」だってが、今年はゴッホの「ばら」。

さて、今年は何回使えるだろう。