NHK教育テレビで、毎週水曜日に放映中の「3か月でマスターする絵を描く」を楽しみにしている。
大人ならではの「学ぶ楽しさ」を届けている「3か月でマスターする」シリーズの第5弾目。講師の柴崎春通とアシスタントの山之内すずの2人の掛け合いが面白い。
柴崎春通は70歳の節目に海外で個展を開催したいと望んでいたところ、息子から「YouTubeで国内外に向けて発信してはどうか」と勧められたことがきっかけで動画投稿を開始したという。「おじいちゃん先生」の愛称で親しまれている。
山之内すずも、Instagramへの投稿をきっかけにして芸能界入りしている。
二人ともネットの世界で人気を得たということで共通している。
そういえば、アクリル絵の具も歴史は浅く、近代的な石油化学の発達によって生産することが可能になった現代的な絵の具というところも共通しているかもしれない。
この番組では、不透明水彩絵の具のアクリルガッシュを使って、第1回目は筆使いでグラデーションを描く「夕日が沈む風景」、第2回目は陰影を使って立体的に描く「手を伸ばしたくなるリンゴ」の講義をしている。
たった30分間だけの講義なのだけれど、これがすごく勉強になる。

本屋に行くとNHKテキストが平積みにされている。
黄色い表紙で大きく「絵を描く」とタイトルが書かれているからすごく目立つ。
このテキストがなくとも、番組を見るだけで十分に楽しめるのだが、一応、テキストを手元に置いてちゃんと勉強することにした。
この番組の良い点は、画材として不透明水彩絵の具(アクリルガッシュ)を採用しているところ。
アクリルガッシュは、透明水彩絵の具よりも簡単で、油絵の具よりも扱いやすい。
透明水彩絵の具は、はじめは薄く塗って、少しずつ色を濃く塗っていく描き方が基本だが、アクリルガッシュの場合は油絵と同じように濃い色から塗って、塗ったそばからすぐに乾いてしまうから、その上に色を重ねて塗れる。だから、たとえ失敗しても上塗りをして修正することができる。また、油絵のような厚塗りもできるし、そもそも水性絵具だから「ぼかす」こともできる。
最近は透明水彩絵の具の繊細な鮮やかさや偶然の滲み具合いを面白がって絵を描いているのだけど、久しぶりにアクリルガッシュを使って描いてみようかな、と思った。